京都御所 弐の巻
05/03(Wed) 21:19|よもやま話comment(0)trackback(0)edit
京都御所はとにかく広いため、ほんの一部しかご紹介できません。壱の巻では散歩ついでに立ち寄れる所を取り上げましたが、今回は仙洞御所と京都迎賓館です。多数の写真をどうしたものか。京都御所でも撮影してきましたし・・・・300枚以上ありますからね。私を始め京都に住む者は金閣寺・清水寺・二条城・・"行ったことないー"と言う人が意外といます。御所もそうです。ブログのネタの為、京都御所・仙洞御所へ生まれて初めて訪れました。

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4月下旬、仙洞御所の外周り、緑の中に桜が咲いていました。綿菓子のようなフワフワした花がこぼれんばかりに、舞妓さんのかんざしみたいです。京都御苑内にはおよそ1000本の桜がありますが、ソメイヨシノは1本もありません。

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大宮御所の南に仙洞御所があり、大宮御所の北に京都迎賓館があります。

京都御所と仙洞御所は見学無料です。機会があれば一度行ってみる価値はありますし、あれだけの維持管理費用を考えると料金をとるべきと思います。特にお寺や神社にいたずらをするような外人が実際居るわけですから、御所も警備はピリピリしています。当然です。一言申せば、いたずらをした所で、何の意味があるのかわからず、愚かなことと思います。罪を償う云々よりも、元に戻しなさい。どれだけの手間と費用がかかるか、低俗としか言いようがありません。

仙洞御所は当日、先着順で見学もできますが、webで予約する方が無難です。大宮御所の御門から入ります。
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DSC08835.jpg 大宮御所の御車寄です。大宮御所は今も天皇皇后両陛下、皇太子殿下ご夫妻が入洛の際にお泊りになる所で、車はここに着けられます。見学者はここを通って仙洞御所へ行きます。仙洞御所にも建物はありましたが、焼失後、再建されず、北池・南池のある庭園だけがあり、総面積91000㎡。歴史的な説明は省きますが、大宮・仙洞御所は皇位を退いた天皇の御所でした。

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大宮御所御常御殿は普段の生活の場で、京都迎賓館ができるまでは賓客の宿泊にも使われていました。カーテンはレースで中は洋式になっているそうです。御殿の前には紅白の梅、

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松と松の奥に竹があり"松竹梅"の庭と言われています。

御殿から潜り戸を通ると大きな庭が目の前に広がります。池の水は昔、鴨川から、琵琶湖疏水から引いていましたが、現在は地下水です。地下水で2つの池をまかなうのですから、かなりの水量です。舟遊びができるようになっています。
この時期は藤もつつじもまだ咲いておらず、青もみじがミントのような清涼感を与えてくれます。
庭内の鎮守社にはどこの神様がいらっしゃるかと言うと・・・・伊勢神宮、はい。他に春日大社・上賀茂神社・下鴨神社・石清水八幡宮です。神様はひとつでなくてもいいんだ。いくつもあると喧嘩をするのではないかと心配していましたが。

北池はどこから見ても正面に見えるように作られているそうで、なだらかな池周りです。
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苔の橋は土橋、6枚の大きな切石は六枚橋。自然なようで、珍しい。
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紅葉橋は秋が綺麗だと思います。
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もみじの大木は少し赤色がかっています。赤い花をつけていました。
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北池から南池へ歩くと、池の住人、アオサギが1羽。こわがる様子もなく、人の方を気にしていました。
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1枚目は菖蒲が咲いていたら尚、いー写真だったかと。街中のオアシス。手入れはされているけれども、ナチュラルな森の中を歩くような庭園です。

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大きい灯籠は水戸光圀公から献上された物。

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仙洞御所の見どころはこの水辺の洲浜です。11万1千個敷き詰められています。

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お正月のお鏡さんのような円くてそこそこの大きさです。石を研磨したかと思いましたが、昔のこと、小田原藩主が湯河原吉浜海岸の石を一個一個真綿に包んで御所へ運んだと言われています。石一個を運んだ者には米一升を与えた言い伝えからこの石を“一升石”と呼ぶそうです。石の中に松や桜の木が植わっています。裸足で歩くと気持ちいいでしょうね。

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藤棚に覆われた八つ橋は中島へつながり、橋の左側は真っ直ぐですが、右側は凸凹と変形の橋です。
眺めていると心が落ち着き、時間を忘れてしまいます。滝・橋・島・洲浜と庭園の優雅さが仙洞御所の素晴らしさと思います。南禅寺別荘の庭園も壮大ですが、ここは趣向などのひねりがない原型に思え、“献上”の為の最上の物が集められて、スケールが大きいです。
他にも茶室など建物もありますが、省きます。まろやかなお庭の仙洞御所はほとんどがもみじですので、その頃ならもっと平安王朝の雰囲気を醸し出すのではないかと思います。外国人も見学していましたが、パンフレットだけではわかるかな。ガイドさんが案内してくれますので、イヤホンガイドがあればもっといいのではないかと思いました。

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京都御所と大宮御所には護衛署があり、24時間の警備だと思います。夜は真っ暗なんですよ。

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京都御所南東端の瓦。御紋の菊・・・の花が咲いています。
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御所の瓦はシュッと反りがありまして、美しく見せる技法なのかもしれませんが、技としては難しいと思うな。御常御殿・紫宸殿など御所の建築物の端は同様に反りがあります。

では、もうひとがんばりいきますか。
京都府・京都市・京都商工会議所の要望で京都迎賓館が建設され、完成から12年となりました。敷地面積20140㎡。歴史はありませんが、現代へ伝承された手仕事の粋(すい)を見る事ができますので、おとなの社会見学の気分でした。
できたての頃、昼間は一度行きましたが、今回、夜間見学を初めて実施するということで地元、上京区民の一人として行ってきました。事前予約をして、ここは1000円支払います。昼間の見学は当日枠・予約枠共にあるはずです。

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これが正門で、VIPはここから車で入り、正面玄関に到着します。我々はここを通らずに敷地内の地下駐車場へ行きます。ここではX線手荷物検査が行われ、カメラなど必要最低限持ち込む物以外はロッカーに預けます。

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夜間はうまく撮影できないため、まともな写真はほとんどありませんが、ご容赦ください。現代和風をコンセプトに玄関も大きくなく、迎賓館にしては豪華さはありません。
京都迎賓館は主に京都の伝統工芸職人の総力を結集して完成しました。目に見えて派手さはありませんが、例えば玄関の扉は樹齢700年、直径2mのケヤキから作られた一枚板を使用している等、写真と共に簡単にご説明します。

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玄関を入ると正面に日本庭園が目に入ってきます。建物が庭園を取り囲むようにあり、どこからも庭園が眺められます。奥行き感が計算されていて、引き寄せられます。このまま、まっすぐ藤の間まで行きたくなりそうなのに、あえて、右から回廊式を取り入れています。

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夕映の間は左右に"比叡月映""愛宕夕照"と名づけられた西陣・綴れ織が壁を飾ります。(写真2枚目があたご、後の方がひえいです)
当ブログでも北西の愛宕山、北東の比叡山を何度も取り上げていますが、その姿を織物で表現し、綴れ織は西陣織の中でも最も高い技術で、爪掻き本綴れ織は織る人のギザギザの爪で糸を寄せて織ります。綴れ織は絵画のように繊細な色のグラデーションを表現できるのが特長で、立体感が生まれます。ヨコ糸しか表面には出ないので表裏が同じ柄となり、複雑な図柄になると一日1cmしか織れない物もあるそうです。比叡の方は374色、愛宕の方は325色の糸を使用し、4枚目の写真がカラーチヤートです。2.3m×8.6m、下絵は日本画家 箱崎睦昌氏。龍村美術織物製です。

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玄関から真正面に見えた所がこちらの藤の間です。こちらも川島セルコン製の綴れ織で、16.6m×3.1mの中には39種類の草花が1000色、30万本の糸で織られていています。下絵は日本画家 鹿見喜陌氏。 龍村・川島と言えば歌舞伎座の緞帳も手掛けています。

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芸妓さん達の舞いや伝統芸能を披露する舞台です。扉飾りはきり金と言う0.2mm~1mmの金やプラチナの糸で作られていて、女性の作です。

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洋食器は日本の大倉陶苑・ノリタケ・HOYA

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和室、桐の間です。この座卓は一枚物12mの漆塗り製です。鏡のように光っています。天井は樹齢280年の吉野杉で、これも継がずに一枚物です。"庭屋一如" 庭と建物は一体である、障子を開けると外と内の境が無くなり、座った目線で庭園が鑑賞できるようになっています。座椅子のの背には政府の紋章、五七の桐の蒔絵。漆の艶の中に蒔絵が浮き立ちます。指紋だけでも目立ってしまうような艶です。

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池の渡り廊下から。残念ながら真っ暗で肉眼でも庭園はわからず。水面に灯りが映ります。室内は白い蛍光色なのですが、廊下に間接照明が入っているため外から見ると赤みがかった行燈のあかりのように見え、幻想的です。

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実際はこういう所です。
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昼間はお庭が見渡せて、たくさんの鯉も泳いでいます。小鯉が随分大きくなりました。

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和舟が見えるでしょうか。庭へ出なくても建物から直接、船に乗り込めるようになっています。写真はブータン国王。滋賀県の船大工さんが製作し、槇でできています。琵琶湖があるため滋賀県には造船業があります。

見学を終えて、玄関から正面に日の丸旗が見え、敬礼したくなると同時に"平和であってほしい"と、心の中でつぶやく。仙洞御所、京都迎賓館。写真をご覧になって、これはいいなぁと言うものがありましたでしょうか。
宮内庁御用達は京都にも数多くあります。御所の中を見学すると、最高の物を献上すると言うことがわかります。しかし、上質であればいくらでもお金をかける時代ではなくなり、手間をかければ価格は高くなり、高い物は敬遠され、安い物に負けてしまいます。
また、平成の迎賓館は直線的な美しさとシンプルな作りが上質感を際立たせ、全てが特別仕様です。
建築物や庭園は完成が終わりではなく、後々、手を入れていかなければならず、その為には職人の手仕事が必要とされます。迎賓館は賓客をもてなす役割もあり、職人の技が伝承されていくための作品でもあります。

迎賓館は日中の方が見応えあるように思いますし、仙洞御所にしてもわざわざ予約をしてまで行くような所でもないと言う声もあります。見学できることが広まっていない事もあるかと思いますし、寺社だけでなく京都にはこれらよりも格の高い御所と言うものがあるということを知って頂ければと思います。京都御所についてはヘタクソクラブ5月例会を終えてから載せます。

帰り道、三日月を綺麗に撮りたかったのに、残念。御門だけが光に照らされ、他は真っ暗闇で、誰一人、会う人はいませんでした。
砂利道を歩くのも結構足が疲れます。
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